本当に怖い!!『歯ぎしり』
こんにちは。「川越駅西口 徒歩1分」にあります川越ホワイト歯科クリニックです。
皆さん、『歯ぎしり』と聞くと、どのように想像しますか。
多くの方が、寝ている人が、『ギリギリ、ギリギリ……』と音を立てている様子が思い浮かぶのではないでしょうか。
実は、歯ぎしりには、寝ている間にしている歯ぎしりと、起きている時にしている歯ぎしりがあります。
さらに、音が出る歯ぎしりの他に、音が出ない歯ぎしりもあります。
そこで今日は、『歯ぎしり』についてお話していきたいと思います。
『歯ぎしり』は、『ブラキシズム』とも言われています。
その、歯ぎしりには3種類のタイプが存在します。
①グラインディング
これは、皆さんがよくイメージする、『ギリギリ』と音を立てる歯ぎしりです。
無意識で上下の歯をこすり合わせることによって、この『ギリギリ』という音がします。
②クレンチング
いわゆる、『食いしばり』です。
上下の歯を、強く、過剰に咬み合わせることです。
これは、歯がこすれるわけではないですので、音は出ないことがほとんどです。
③タッピング
上下の歯がリズミカルに『カチカチ』と音がする歯ぎしりです。
これは、歯が咬み合ってすぐに離れるため、過剰な力はあまりかからず、歯や顎などへの悪影響は少ないと考えられます。
『歯ぎしり』は、およそ10~15%の人が、寝ている間にしていると言われています。
さらに、日中の食いしばり等も含めると、80~90%の人が、歯ぎしりをしているとも言われています。
日中起きている時の、クレンチングは、パソコンに集中している時や、仕事や運動での重要な場面で緊張している時などに起こります。
しかし、自分が歯ぎしりをするということがわかっていれば、意識的に上下の歯を少し離そうとして、ある程度は防ぐことができます。
逆に、寝ている時の歯ぎしり(グラインディング・クレンチング)は、本当に要注意です。
寝ている時は、無意識ですので、起きている時に比べて抑制がきかず、歯や顎にかなりの負担をかけてしまいます。
起きている時に思い切り咬むと、およそ自分の体重くらいの力を出すことができます。
寝ている時の歯ぎしりでかかる力は、瞬間的に自分の体重の3~4倍くらいも出ていると言われています。
このような力が、毎晩起こっていると、様々な悪影響が出てきます。
<歯ぎしりによる悪影響>
・歯が擦り減ってしまう……歯の表面の一番固い層のエナメル質が摩耗して、歯がしみてきたりする。
・歯の根元が削れてくる……歯の根元が少しずつ剥がれてくることによって、知覚過敏の症状がでる。場合によっては、歯が折れてしまうこともある。
・歯が欠けたり、折れたりすることがある
・治療した詰め物や被せ物がとれてしまう、セラミックが割れてしまう
……グラインディングによって、詰め物や被せ物がとれてしまう方向に力がかかる。とれる前には隙間ができてしまうので、そこからむし歯になりやすい。
場合によっては、セラミック治療した部分が欠けたり、割れたりすることもある。
・歯周病が進行してしまう……過剰な力がかかり過ぎると、歯周組織にダメージを与えて、歯がぐらぐらしてくる。場合によっては抜けてしまうこともある。
・顎関節症になってしまう……顎に負担がかかり過ぎると、顎の関節に音が鳴ったり、口が開かなくなったり、痛みが出てきたりする。
・頭痛や肩こりが出る
……歯ぎしりをすると、こめかみ付近の筋肉(側頭筋)に負担がかかって頭痛を起こしたり、口の周りの筋肉に負担がかかって顎が疲れたり、肩が凝ったりする。
・歯並びが悪くなる……強い力がかかり過ぎると、奥歯がすり減ってきて、歯並びが少しずつ変化してくる。
・顎の骨が変化する……骨隆起(下顎隆起・口蓋隆起)とよばれる、骨の形が隆起してくる。場合によっては、入れ歯が作りにくくなる。
・顎のエラが張ってくる……主に咬筋が肥大して、ホームベース型の輪郭になり、エラが張った印象になる。
以上、歯ぎしりによる悪影響は、かなり深刻になるケースまであります。
では、歯ぎしりの原因は何でしょうか???
歯ぎしりの原因は、複数あり、一概に断定する事はできません。
しかし、原因を一つずつ取り除けば、症状は改善していきます。
そして、現在分かっているのは、睡眠中の歯ぎしりは、
浅い眠りの時(レム睡眠時)に起こっており、深い眠りの時(ノンレム睡眠時)には起こらないのです。
<はぎしりの原因>
1)ストレス
ストレスのない人はいません。しかし、ストレスは少しでも、できる限り早めに解消した方が良いでしょう。
ストレスをため込むと、歯ぎしりをすることで、無意識下でストレスを発散しようとします。
2)飲酒や喫煙
アルコール摂取することによって、睡眠時の初期は深い眠り(ノンレム睡眠)へ誘導されますが、睡眠の後期は浅い眠り(レム睡眠)になります。
タバコに含まれている、ニコチンには覚醒作用があります。これも浅い眠り(レム睡眠)につながります。
飲酒する時間、喫煙する時間を、寝る時間から逆算するといいかもしれません。
3)歯並びの乱れ
咬み合わせが悪いと、無意識下で歯ぎしりをして、咬み合わせがいい状態を探そうとしてしまいます。
4)逆流性食道炎
胃酸が食道まで逆流してくると、口腔内の状況が酸性に傾きます。
この酸性の状況を緩和するために、歯ぎしりをすることによって、唾液の分泌を促します。
医科(消化器内科)への受診をお勧めいたします。
5)睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の方は、呼吸をしていない時に眠りが浅くなりやすく、歯ぎしりをしやすい傾向があります。
<歯ぎしりの治療・対策>
⑴ナイトガード
歯ぎしりから歯を守るために、歯と歯の間にクッションとなる、マウスピースを装着します。
マウスピースは、歯医者さんで作製できます。保険適用で、6000円くらいで作ることができます。
⑵歯列矯正
歯並びが乱れている方は、歯列矯正することによって、バランスのいい咬み合わせになることで改善する傾向があります。
⑶ボツリヌストキシン製剤による治療
歯ぎしりで1番強く咬みしめに関与する筋肉が、「咬筋」です。
この咬筋に、ボツリヌストキシン製剤を注射して、筋肉の力を弱めてあげることによって、歯ぎしりを改善します。
一般的に美容外科で使用されるお薬ですが、歯ぎしりにも効果があるとして注目されてきています。
保険外の治療です。治療できる病院は少ないですので、できるかどうか、事前にお電話等で確認するといいと思います。
⑷飲酒や喫煙、カフェインの摂取を控える
睡眠が浅くなる原因を少なくしましょう。
⑸枕を低くする
枕を低くすることによって、頭の位置が低くなり、口が開きやすい状態になります。
逆に、枕を高くしてしまうと、口が閉じやすくなり、歯が咬み合いやすくなります。
⑹閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
耳鼻咽喉科からの紹介状があれば、歯医者さんで上下一体のマウスピースを作ることができます。
下顎を少し前に出した状態で、咬み合うようにマウスピースを装着することによって、睡眠時の気道を確保します。
生活習慣の改善も必要かもしれません。
⑺逆流性食道炎
生活習慣の改善や薬物療法で改善します。
内科の先生の指示を仰ぎましょう。
最後に、『歯ぎしり』は、子供にもよく見受けられます。
子供の歯ぎしりは、早い場合は、歯が生え始める、生後6ヶ月くらいから始まります。
これは、新しく生えてくる歯の位置や、顎の位置を無意識的に決めようとする、生理現象です。
歯ぎしりをすることによって、咬みやすい位置を探しているのです。
ですので、子供の歯ぎしりはあまり心配しなくて大丈夫です。
ただ、どうしても心配なお父さん・お母さんは、歯医者さんに相談しましょう。
以上、長々と『歯ぎしり』について述べてきましたが、
ご覧になった方の、少しでも参考になれば幸いです!!!!